そしたら、
人を好きだと思うことは、なんと気持ちのいいことだろうという思いがこみあげ、胸いっぱいにふくれみちてきた。
すると和彦は、きょうのウドン屋のおじいさんとおばあさんが、自分にそのことをおしえようとして、もう何年もまえから、ああして待っていてくれた人のような気がしてきた。
そんなふうにしてこれから先も、いろんな人が、いろんなことを自分におしえるために、待ってくれているのかもしれない、と和彦は思った。
そう思うと、なおさらもう、だれもかれもが好きに思えて、ますます強く、人を好きだと思うことは、なんと気持ちのいいことだろうという思いが、からだじゅうにみちあふれた。
- "翔ぶんだったら、いま!" 吉本直志郎氏